月別アーカイブ: 2016年7月

すず奴のマタニティライフ in US vol.5 〜入院編〜

すず奴です。ボストンもかなり暑くなってきました。といってもほぼ外出してませんけども……
今回は出産後から退院までのことを思い出しながら書きます。今回も長文です。

陣痛〜出産までの日記はこちら

◎入院、48時間

L&Dから個室の病室に移動して、これから2晩を過ごす。
このフロアには出産を終えた女性のための病室と、Nursery Room(新生児室)しかない。以前乳がんの手術で入院したときも乳がん患者専用フロアだったなぁ、と思い出す。

アメリカでは医療費が高いこともあり、普通分娩は48時間、帝王切開の場合でも72時間しか病院に滞在できない。いつ時間を区切るかは病院によって違うと思うけど、私が入った病院は朝11時と夜8時で区切られていて、私は朝7時半に病院に来たので、朝11時区切り。なので翌々日の朝11時まで滞在できる。(実際にはもう少し緩くて、11時〜午後1時の間に退院してねと言われた。)

病室に移動したのが確か夜10時頃。もうカフェテリアは閉まっていたので、夫が日本食の晩ご飯をテイクアウトしてくれた。日本食、ありがたや〜。

定期的にナースが来て、血圧・体温の計測、そして授乳時間とおむつ交換についてチェックが入る。授乳時間とおむつ交換についてはbreastfeeding diary(授乳日記)に記録をつける。2週間分の表があり、産婦人科を退院した後、小児科に行く際に持参する。

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Breastfeeding diary(授乳日記)

私がうっかりしていたというか甘えていたというか、入院中に授乳とかおむつ交換とか沐浴とかひと通りのやり方を教えてもらえると思っていたのだけど、そんなことは無かった。「教えてください」とお願いすれば教えてもらえたのかもしれないけど、”お願いしなきゃ教えてもらえない”というシチュエーションであることを理解できなかったのと、産後で身体が痛いのと、授乳で眠れないのとで頭が回らず、教えてもらう機会を得ることもないまま退院になった。

と書くと、アメリカの病院ってぞんざいね!って思われるかもしれないので補足。ナースから教えてもらえたことももちろんある。

・スワドリングのやり方
・授乳時の赤ちゃんの抱き方、乳首の咥えさせ方
・スポンジバスの手順

スワドリングとは、赤ちゃんを寝かすときなどに布ですっぽりくるむこと。日本でいうおくるみと同じかな?新生児は特に、モロー反射などで手足が勝手に動いてしまい、その動きでびっくりして起きてしまうことが多いので、それを防ぐべく手足を包み込む。胎内にいたときのような密着感もあるから、赤ちゃんは安心して眠れる。

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How to swaddle your baby(画像:Kidspotより)

アメリカでは、新生児を寝かせる場合、crib(ベビーベッド)に敷き布団を敷き、その上にスワドリングした状態で寝かせるよう指導される。枕も、掛け布団も無し。cribの中には敷き布団以外、何も入れてはいけない。窒息死する要因を排除するためだ。
そして以前は頭の形をまぁるく保持するためにうつぶせで寝かせることが一般的だったようだけど、これまた窒息死を防ぐために、今では仰向けで寝かせるのが一般的。

抱っこの仕方と乳首の咥えさせ方は日本で教わるのと同じだと思う。枕などを使ってお母さんがリラックスでき、かつ赤ちゃんをがしっとホールドできる体勢と、赤ちゃんが口を大きく開けてlatch(咥える)するやり方を教わった。

スポンジバスは湯船を使わずに赤ちゃんを洗う方法。スポンジというか、布を使う。布をお湯につけてしぼり、顔を拭く。次にベビーソープをつけて身体を拭き、お湯にひたして再度身体を拭いて石けん成分をぬぐいとる。次に洗面所に行って髪の毛をお湯で濡らし、ベビーシャンプーをつけてごしごし洗った後、お湯ですすぐ。楽だし、しかも「毎日やる必要は無いのよ。週に2〜3回くらいでいいの」とのこと。(!)

これにはボストンのお風呂事情も強く関係していると思う。ボストンには古い建物が多く、古いアパートは水回りがとても悪い。各部屋に洗濯機を置くことができないため、コインランドリー使用が必須。お風呂もシャワーだけか、浅いユニットバスが殆ど。ちなみに私のアパートだと、お湯がタンクから供給されるようになっていて、一度に出るお湯の量に限りがある。湯船にお湯をはると髪の毛を洗う頃にはお湯が水に変わってしまうのでシャワーしか使えないし、二人続けてシャワーもできない。こんな水事情と、割と乾燥した気候であるため「スポンジバスで週に2〜3回」と教えられるのだと思う。

なお、私はいただきもののミキハウスのふくらますお風呂(便利!)を使って、毎日沐浴させてます◎やっぱりお風呂がいいよねぇ……スキナベーブも使ってます◎

入院時、ラクテーションコンサルタントという、母乳指導をする人が3回ほど病室に来た。しかしおっぱいマッサージをしてくれるわけでもなく、母乳を増やす方法を教えてくれるでもなく、ただ「乳がんで右胸からしか母乳が出ないのよね?でもね、双子を持ったお母さんが片乳ずつで二人とも完母で育てた例もあるから大丈夫よ」とか、「母乳の出が心配なら、授乳後にpump(搾乳)しなさい」というアドバイスをくれるのみ。

「母乳がちゃんと出てるか不安なんです」と訴えても、「退院前に赤ちゃんの体重を計るんだけど、そのときに減り過ぎてなければ大丈夫だから」としか言われない。そう、

formula(ミルク)について、 全 く 何 も 教 え て く れ な か っ た

のだ。私が利用した病院は、カンガルーケアやSkin to Skin、Breastfeeding(母乳)といった、母親と赤ちゃんの身体の触れ合いをとても大事にしていて(その割におっぱいマッサージなどの具体的な指導は無かった…して欲しかった。)、formulaについては一言も触れられなかった。もしかしたらアメリカ全体的にそうなのかな?いや、そんなことは無いはず。だってアメリカにはformulaを選ぶにしても大まかに言って3種類も選択肢がある。powder(粉)、concentrate(濃縮液体ミルク)、ready-to-feed(そのままあげられる液体ミルク)だ。粉は粉として、濃縮液って!?液体ミルクって!?

液体ミルクは日本では販売されていないけど、販売を望む署名活動なども起きていて存在自体は認知されていると思う。粉を計る必要も、お湯をわかして溶かす必要もない。なんならお湯であっためる必要もない。室温のまま置いておいて、ぱかっと開けてそのまま赤ちゃんにあげられるのだ。便利!でも私は便利さよりも、ええっ赤ちゃんに室温のもの飲ませてもいいの?ってことが衝撃的だった。ミルクって37℃くらじゃないと赤ちゃんは飲みませんって耳にタコができるくらい日本だと言われると思うんだけど、液体ミルクは”赤ちゃんは室温でも飲む”ということを明示してるんだよ。ちょっとくらい冷たくても大丈夫なんだよ。これってお母さんたちにはありがたい情報じゃない?

私は完母にはできず混合で育児をしていて(その経緯についてはまた後日書きたい)、明治「ほほえみ」らくらくキューブを使ってるんだけど、作り方は「キューブを哺乳瓶に必要量入れ、そこに70℃のお湯をできあがりの2/3の量注ぎ、哺乳瓶をよく振って溶かした後、湯冷ましを足し入れ、再度よく振り、人肌ほどに冷ます」と書いてある。ちょっとした手間だ。なぜに70℃。

世の中には調乳用に70℃に保温するポットも売られている。しかし実際は沸騰したお湯を冷まさず使っても問題ないらしい。70℃と記載されているのは厚生労働省が定めた基準だから。沸騰直後のお湯で溶かすと確かに少量のビタミンなど壊れてしまう可能性があるけれど、いずれにせよ人肌程度にまで冷ます(ぐらぐらと何分も沸騰させるわけではない)ので、そんなに気にしなくてもよい、らしい。人肌くらいの温度が赤ちゃんにとっても美味しく飲めるのだろうけど、きっと少しくらい冷めても大丈夫。

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粉を計る手間を省いた画期的な商品、明治「ほほえみ」らくらくキューブ

とにもかくにも、日本だと入院中にミルク会社の人が営業で来てミルクの作り方とか教えてくれたりすると思うんだけど、私はformulaについて全く何も教わらなかった。退院後にすぐ混合に変えたので、教わっておきたかった……というのが本音。

formulaといえば、これすごい!と思ったのがネスレ製の「The Babyness Machine」。ネスレが誇るエスプレッソマシン、ではなくミルク調乳マシン。concentrate(濃縮液体ミルク)のメリットを最大限に引き出していると思う。月齢に合わせてポーションを変える仕組み。Wi-fi接続ができて、アプリで作った量などを管理できる。高いけど、忙しいお母さんには便利かも。

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The Babyness Machine

入院について話を戻します。
L&Dには一人しか立ち会いを入れられないけれど、病室には何人でも訪問客を入れられる。また簡易ベッドが一つ設置されているので、一人泊まることもできる。訪問する際にはフロア内のレセプションで受付をして、名札をつける。ただし、感染症を防ぐため、子どもの出入りは禁止されている。(おそらくマサチューセッツ州が求める予防接種を全て受けた年齢の子どもなら入れるんだろうと思う。)

一晩目は夫が、そして二晩目ははるばるボストンまでやって来てくれた母が、空港から病院に直行して泊まり込みしてくれた。私の母は4人の子どもの母親。4人とも自然分娩+完母+布オムツという、今流行のロハス(?)を先取りしまくった「母親の鑑」のような母。そう、無痛で産んで混合で一人目をえっちらおっちら子育てしている私からしたら、もう「すごい!」としか言いようがない。すごいよお母さん!タフネス!

アメリカの病院はセキュリティも厳しい。まず入院時、母親と立ち会い人(私の場合は夫)は名前入りのタグを腕につける。赤ちゃんも、生まれてすぐに母親の名前がついたタグと、出口のセンサーに反応するタグを脚につける。連れ出し・誘拐察知用だ。

退院日の朝が一番慌ただしくて、赤ちゃん生まれましたgreeting cardを作る業者が写真を撮りに来たり(有料、任意)、出生証明書の届けを出したり、medelaの電動搾乳機がもらえないことが判明したり、小児科医にアポイントメントを入れたり、赤ちゃん自身も体重を測られたり、マサチューセッツ州新生児検査のために採血されたり、と盛りだくさん。

アメリカでは出生証明書の届けを退院時までに提出しなければならない。それはつまり、名前を退院時までに決めておかなければならないということ。ミドルネームも付けることができる。これが通れば子どもは晴れてアメリカ人だ!わ〜わ〜わ〜

オバマケアのおかげで、たいていの保険であれば産後にmedelaの電動搾乳機が無料でもらえるのだけど、そしてその搾乳機が経産婦にすこぶる好評で私も「両胸いっぺんにしぼれるの!絶対もらった方がいいよ!」と言われたのだけど、私の加入していた保険は残念ながら対象外で、もらえなかった……ううう。

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medela Breast pump

そしてなんと退院翌日に小児科医に行かなければならないと言われ、あわてて予約を入れた。翌朝7:30(!)の予約。は、早い…けどその時間に行くしかない。
そして赤ちゃんがもし100°F(38℃)以上の熱を出した場合、産婦人科でもなく小児科でもなく、救急病院に行くように言われた。電話予約などいらない、とにかくすぐに行きなさいと。救急病院ってどこですか、と聞いたらこの病院の向かいにあるよと教えられた。そ、そうだったのか。

新生児は生まれた後24時間はほとんど寝ている。なので最初の24時間は2-3時間おきに無理矢理起こして授乳するわけだけど、寝てばかりいるしおっぱいの吸い方もまだそんなに上手ではないため、生後1,2日は少し体重が減るものらしい。体重測定の結果、体重の減り具合が標準以内だったため、退院の許可が出た。(体重の減りが多すぎたらNICUに移されたのかもしれない。確認していないので不明だけど、多分そうなったと思う)

という感じであっという間に二日間は過ぎ、特に何事もなく退院となった。持参したベビーシートにちっちゃい息子をおそるおそる乗せて、uberに乗って帰宅した。運転手のおじさんも「生まれたばかりの赤ちゃんを乗せるなんて初めてだ、光栄だよ!」と言って喜んでくれた。




 

出産とは関係ないですが、動画でもおひとつ。
Tiny Desk Contestというコンテストに応募するために作った動画です。suzumikiライブより”A Wind from Saigon”だけを抜粋したもの。キャットスーツ着用。お楽しみください〜

すず奴のマタニティライフ in US vol.4 〜出産編〜

生まれたー!
というか、生まれていたー!!

先日、男児を無事出産しまして、既にひと月が経ちました◎
今回は陣痛から出産までの日記を書きます。超長文です。

◎出産前日

すず奴は、焦っていた。
時間が、無い。

ここ数年、すず奴にとって何よりも大切なプロジェクトになっているボリショイsuzumiki。プロジェクトの一つの節目として、処女作「ごろごろにゃーん」をDVD化することに決めた。



忙しいメンバーに協力をお願いし、場所や機材を借り、貯金をはたいて動画を録った。カメラマンはアメリカ人。彼に編集もお願いしている。そう、アメリカ在住の日本人(すず奴)が日本在住のアメリカ人に撮影・編集してもらうという、ちょっとおかしなことになっている。

MVなどが得意で、明るくて動きのあるムービーを撮るそのカメラマンは、日本語を流暢に話す。しかし彼は日本語の読み書きができないため、すず奴はシナリオを英訳し、英語で編集の指示を出した。留学生っていうのが信じられないくらい、拙い英語で。

送られて来たラフ版には素っ頓狂な日本語が踊っていることもあった(送ったデータをコピペしてくれればいいのに何故?)。指示したタイミングと違う箇所で字幕が挿入されていることもあった(指示が細か過ぎるのか?)。日本語のミュージカルをアメリカ人に編集してもらうことにもともと無理があったんだろうし、何よりもすず奴の貧弱な英語力のせいが大きかったんだろう。

すず奴は学校の課題と妊娠特有の眠さ・気怠さと戦いつつ、カメラマンは拙い指示に忍耐を強いられつつ、修正の版を重ねた。バークリーの春セメスターも無事終わってしばらくした頃、素晴らしい最終版が送られてきた。あとはすず奴が、残された作業をやるだけだ。

(…小説風?に書いてみたけど、めっちゃ長くなるのでこのへんでやめます…)

残作業は映像への画像や歌詞入れ、オーサリング、ジャケットデザインとDVDコピー業者への発注とか。睡眠不足な期末試験を乗り切った反動か、はたまた臨月だからか、異常に眠くてだるくて作業に着手できず。その上、熊本とエクアドルに起きた地震被害へのチャリティコンサートのために応募した曲のアレンジも必要になってきて、ずるずると後回しに。

そんなこんなで予定日4日前。
ようやく焦りが出て来て作業していると、下腹部にすんすんとした痛みが。軽い生理痛のような痛み。「おお、これが前駆陣痛ってやつだな」とわくわくし始める。以前会った妊婦さんが「前駆陣痛が一週間続いてしんどかった」と言ってたので、前駆陣痛って何日か続くもんなんだろうなと思っていた。続きは明日やろうとキリのいいところで作業を終わらせて、寝る。

0時を過ぎたあたりから、不規則だった痛みが規則的に。7-10分間隔でやってくる。しかも時間が経つにつれ痛みが大きくなってきた。こりゃー、陣痛だ。病院でもらったパンフレットを慌てて引っぱりだす。

”初産の場合は陣痛が5分おきになったら病院に電話を。ただし病院から車で30分以内の場所に住んでいる人は3分おきになったら電話をしてください”

なな、なんですと……?(汗)
今でもけっこう痛いのに、さささ、3分おきになるまで我慢しろと……?(大汗)

朝7時。きっちり7分間隔になった陣痛がそりゃぁもう痛くて、無理デス〜と電話をかける。あえて苦しい感じを前面に出したら「じゃぁ病院まで来てください」と許可が出た。

uberに乗って病院に着いたのが7:30。痛くて歩けず車寄せでうずくまっていたら病院のスタッフが車椅子を持って来てくれた。産科で受付を済ませ、大部屋(?)へ。陣痛の間隔や胎児の胎動、子宮口の開き具合のチェックを受ける。この時点で子宮口が4cm開いていて陣痛も6分おきになっていたので、L&D(Labor and Delivery)へ移動となった。

ナースから割礼するかどうか確認され、麻酔について説明を受ける。麻酔の説明には日本語の通訳をつけてもらった。アメリカと言えば無痛分娩。帝王切開を除く膣分娩で出産する妊婦のうち無痛分娩を選択する妊婦の割合は6割とも8割とも言われている。無痛分娩のメリットは、何よりも妊婦が過剰に痛みを我慢することなく出産できること。そして、出産のタイミングがコントロールし易くなるので病院側にとっても利点は大きい(と思う)。

無痛分娩で使われるエピデュラル(epidural, 硬膜外麻酔)を打つかどうか確認を受けた。epiduralを入れるタイミングは子宮口が5cm開いたときとよく言われるけれど、妊婦が望めばもっと早い段階で入れることもできるらしい。そしてepiduralを早い段階で入れてしまうと、遅いタイミングで入れたときより陣痛が長引き、場合によっては帝王切開に切り替えになるという説があるけれど、無痛分娩から帝王切開に切り替わったケースにおいて、epiduralのタイミングは相関が無いという調査結果もあるようだ。つまり妊婦の好きなタイミングで入れていいよということ。

私はできれば自然にやりたかったのと、epiduralを入れたら透明な飲み物以外は摂れなくなると聞いたのでもう少し耐えることにして、「早く使っちゃえばいいのに。痛いんでしょ?」というナースの視線を感じつつ、昼食のデリバリーを頼んだ。

病院内のカフェテリアからデリバリーが届いたのが11時頃。胎児の頭が背中側に寄っていたため、この頃の陣痛はひどい便秘ででっかいうんこがゴリゴリと会陰の辺りに降りて来るような痛みになっていて、陣痛が来るたびに(何も出ないのに)トイレに駆け込んでいた。便座のようなものに座らないと逃せない痛み。陣痛、聞いてはいたけどやっぱり痛い。急いでオレンジジュースとサンドイッチをお腹に入れて、ナースを呼んだ。このとき陣痛は6分おき、子宮口は6cm。epiduralを入れて下さいとお願いすると、ナースは心なしか笑った気がする。

12時。epiduralが入ってしばらくすると、スーッと痛みが無くなった。まるで魔法。モニターを見ると陣痛の波形は変わらず続いている。epiduralまじすげぇ。「子宮口が10cm開くまでそのままでいてね」と言い残して去って行った麻酔医とナース。さぁ、ここからがepiduralの腕の見せ所。頼りにしてるぜepidural!

日本のような自然分娩だと、子宮口が開ききるまでの長時間、間隔が短くなる上に痛みが増していく陣痛とじーっくり向きあうことになるけれど、無痛分娩だとただの昼寝時間になる。昨日全く眠れなかったのでスヤスヤと爆睡した。

午後5:30。子宮口は9cm。ナースが来て「産科医は今他の患者のC-section(帝王切開)をしていてここへの到着が6:00になるから、6:00から出産にしましょう」と陣痛促進剤を入れたり、破水させて羊水を半分ずつ出したり、出産に向けた準備が始まった。羊水は500ml、400ml出た。(ちなみにアメリカは重さをポンド・オンス換算、長さをフィート・インチ換算するのに子宮口はcm、羊水もmlで計量していてちょっとびっくりした)

産科医が来るまでの間、ナースが暇そうにしていたので「日本では自然分娩が一般的で推奨されていて、痛みを感じることが良いこととされている」と話したら、「あなたは子宮口が6cm開くまで痛みに耐えたのよ!みんなもっと早くepiduralを入れるわ。そんなに我慢できるなんてすごいことよ」と何故か激励されたので、”epidural is awesome.”と返した。ナースはまた笑ってくれた。

午後6:15頃、産科医が来て、いよいよ出産になった。「早ければ1時間、長くても3時間で終わるわ」とナース。

1)大きく息を吸う。
2)息を止めて胎児を外に出すべくいきむ。10秒間。
3)息を急いで全部吐く。

1-3を陣痛のタイミングで3回繰り返す。いきむ際に両膝を裏側から自分で抱えて持ち上げるというのが、なんか原始的だし合理的だと思った。(日本だと何もつかまないように指導されたりしますよね?)この頃になると陣痛もかなり大きな痛みになっていて、麻酔をしていても陣痛がかすかに分かるので、ナースから合図されなくてもいきめた。

「頭が見えたわ!髪の毛で真っ黒よ!」
頭のてっぺんが出てきたらしい。触ってみたら確かに髪の毛の感触が。いきむたびに少しずつ身体が出てきて、途中でパチンパチンと会陰切開する音がして、夫が恐る恐るへその緒をカットして、どぅるるるん!と私の胸の上に生まれたてほやほやの息子が乗っけられた。予想以上に肉付きがよくぷりぷりして、確かに黒い髪の毛がびっしり生えて、ふぎゃ!ふぎゃ!と赤い顔で泣く息子を見て、つい「可愛い〜(涙)」と泣いてしまった。だって、本当に可愛かった。出産ハイだったのかな。

いざ出産、となってから1時間かからず生まれた。管楽器奏者あるあるかもしれないけど、腹式呼吸が上手くできるのでいきむのも上手にできた、と思う。
身体を拭かれて体重や身長、頭囲を測った後、再度胸の上にやって来た我が息子。もそもそ動いてなんとか私の右の乳首にくいついた。「これ、ビデオで見たやつ!」と思った。生まれてすぐの赤ちゃんは腹這いで移動して、おっぱいに吸い付く。本能というか反射というか。母乳が出てるのか心配だったけど、「初乳は出るものなのよ」とナースが言ってたので多分出てたんだと思う。そう信じたい。

L&Dで2時間くらい休んだ後、ナースに支えられてトイレへ。epiduralがまだ抜けきれておらず下半身がふにゃふにゃ。会陰切開の傷がふさがるまで、しばらくビデ洗浄とパッド装着が必須になる。その後、私は車椅子に乗って、生まれたばかりの息子は小さなベビーベッドのようなキャスター付きのケージに乗せられて、病室を移動した。付き添いの人用の簡易ベッドがついた個室で、これから濃密な二晩を過ごすことになる。(つづく)

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これが出産前日にごりごりと終わらせたタイトル入れ作業の写真です↓
ボリショイsuzumiki 音楽劇「ごろごろにゃーん」、DVDの発売をお楽しみに◎
多分今年の年末年始には発売できると思います!予定!

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